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かてきょの力

経済社会の高密度化がすすむにしたがい、国民が不快と危険にさらされないよう、都市、農村を通じて、安全、快適で文化的な環境条件を整備、保全する、の四つである。 二全総が、一全総が止めえなかった、いや拍車をかけた過密、過疎、地域格差の問題を解決する方策として掲げた示された国土利用方法で、具体的な方法として登場したのがたのたいし、佐藤栄作首相は、格差の現実を認めたうえで、この問題を解決するため、「全国を一体とした総合開発をすすめるために新しい国土開発計画を検討中だ」と一全総の中途放棄を正式に表明する事態にいたった。
「日本列島改造論」田中は一九七二年六月に刊行した『日本列島改造論』のなかで、「国民がいまなによりも求めているのは、過密と過疎の弊害の同時解消であり、美しく、住みよい国土で将来に不安なく、豊かにくらしていけることである。 そのためには都市集中の奔流を大胆に転換して、民族の活力と日本経済のたくましい余力を日本列島の全域に向けて展開することである。
工業の全国的「ネットワーク」方式である。 都市化の加速を容認し、中枢管理能力を大都市に集める。
大都市と地域を大規模な新幹線、高速道路、空港の建設、通信網の整備によってむすびつけ、大都市から遠い地域でも新しく開発できるようにするというのだ。 その象徴としてこれまで開発の遅れていた地域、すなわち北海道の「苫小牧東部大規模工業基地」、青森県の「陸奥小川原コンビナート」、鹿児島県の「志布志湾大規模工業基地」の三つが指定された。
指定が発表されると、開発業者が用地買収に暗躍し、買い占めが横行して、ただ同然だった地価が高騰を重ねた。 新幹線網、高速道路網、苫小牧などの超大型コンビナート計画、全土の利用構想が地価を上昇させたが、その火に油を注いだのが、通産大臣の田中角栄である。

田中は翌七月にこの「日本列島改造論」をひっさげて首班に指名され、列島は文字どおり開発ブームと土地投機に突入する。 一九七三年四月に建設省が発表した年頭の全国平均地価は前年比三○・九%の暴騰を記録し、同年十二月の日銀卸売物価指数は、前月比七・一%と戦後でも切った。
な再配置と知的集約化、全国新幹線と高速自動車道路の建設、情報通信網のネットワークの形成などをテコにして、都市と農村、表日本と裏日本の格差は必ずなくすことができる」と言い図池物価指数は、前月比二番目という高騰ぶりだった。 日本の国土の現実は田中が「日本列島改造論」で描いてみせたバラ色の夢と正反対のものになった。
ところで、二全総が掲げた四つの目標のうち「都市、農村を通じて、安全、快適で文化的な環境条件を整備、保全する」という都市問題解決の処方菱はどうなったか。 一見、一全総の反省にたったようにみえる。
現実が目標と逆の方向に暴走したことは、その後の都市破壊と、とどまるところを知らない地価の上昇(高騰の反動による一時的な下落はあったとしても)が雄弁に物語っている。 政府もこうした事態を放置できず、すでに一九七二年には経済企画庁が分野別に大規模な再点検を開始している。
一九七三年八月に発表された「巨大都市問題とその対策」は、大都市への人口集中がつづけば、たとえば東京では一九八五年には土地、水、公害、ゴミなどのさまざまな問題で限界をはるかにこえてしまうと警告し、あらためて人口の地方分散の必要性を強調した。 同年十月の「土地」問題にかんする総点検報告は、地価の高騰が資産価値を高めたが、一方で、資産、所得の面で著しい不均衡が生じたほか、公共用地の確保が難しくなり、社会資本の整備を遅らせていると指摘した。
一九七四年六月に新たに発足した国土庁がおこなった、「地方都市問題」にかんする総点検の結果は、一九七五年六月に発表された。 国土庁は、二全総をふくめ、それまでの国土開発計画が地方の産業都市を新幹線、高速道路、通信網などさまざまなネットワークでむすびつけることに重点をおいたため、地方都市が個性を失ってしまったと指摘し、若者が定住したくなるような本来のよさを生かした地方都市づくりを提唱した。
象を世間にあたえた。 一九七三年の石油危機をきっかけとした不況とインフレーションの二重苦が長期化し、世界に誇った経済も、高度成長から低成長路線へ転換を余儀なくされた。
巨大開発と低成長にボロポロになった日本はどこにいくべきか。 その疑問に、ある解答を出したのが一九七八年十二月に「田園都市構想」を掲げて首相に就任した大平正芳だった。
ここで注目すべきは、こうした本来の個性を生かした都市づくりは、従来の国主導によるのではなく、市町村が主導権をとるべきだ、と報告が述べていることだ。 やはり国土庁が一九七七年六月に発表した「工業基地問題」にかんする総点検は、東京湾と瀬戸内海の沿岸工業地帯では、環境や過密化する海上交通のため、埋め立てが限界にきていると警告し、工場の新・増設も規制すべきだと述べ、工業優先の開発計画の限界を指摘した。
一連の総点検作業は、二全総の国主導の大規模開発のスローガンをほぼ全面的に否定した印大平は一九七九年一月の第八七回通常国会で初の施政方針演説をおこない「公正で活力のある日本型福祉社会の建設に努めたいと思う。 そのためわたくしは、都市の持つ高い生産性、良質な情報と、民族の苗代ともいうべき田園の持つ豊かな自然、うるおいのある人間関係を結合させ、健康でゆとりのある田園都市づくりの構想を進めてまいりたい」と持論を展開した。
その荘洋とした人柄とあいまって、大平は、開発と経済成長を重点的に説いてきた歴代の首相とはちがった、人間重視の哲学をもつ指導者という印象を、国民の多くにあたえた。 大平の首相就任に先立つこと−年前の一九七七年十一月、福田趨夫内閣は、第三次全国総合開発計画を閣議決定した。

期間はおおむね十年とされた。 三全総の最大の特徴は、あらたな大規模プロジェクトを打ち出さず、「大都市への人口と産業の集中を抑制し、一方、地方を振興し、過密過疎問題に対処しながら、全国土の利用の均衡を図りつつ、人間居住の総合環境の形成を図る」ための「定住圏構想」を中心にすえたことだ。
全総は第三次にいたって、やっと人間の住む環境を中心課題にすえたともいえよう。 大平の説いた「田園都市構想」とも底流でつながるものがある9三全総はその目標とする「人間居住の総合環境」を実現するため、自然、生活生産環境の調和、安定した居住を確保する一雇用、住宅、文化、教育の水準の確保、定住人口の増加が予想される地方都市と周辺の農漁村の生活環境の整備を優先する、の三原則を掲げている。
大都市については、定住圏構想にもとづき人口の地方定住を促進し、「大都市に居住するすべての人々が安全かつ安定した生活を営むことができる」ようにして「大都市生活に人間性を回復し、あわせて大都市としての機能を円滑に発揮する」ことを目標として打ち出し次期宰相候補の大平の持論を先取りしたこともあろう。

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